日本の商品を中国で広めたい。そう考えたとき、先に小紅書の投稿やKOLの起用を決めてしまうと、発信後に「どこで買えるのか」「購入先には何が書かれているのか」という問題が残ることがあります。
中国向けPRの出発点は、媒体選びではなく、伝える商品と購入先をそろえることです。現地で使われる言葉、実際に購入できる場所、ブランドが使える素材を確認してから、発信内容を決めます。
この記事では美容液の公開画面を一つの例に使いながら、MY WAYが商品PRの企画前に整理する論点を紹介します。投稿から見える疑問を販売先の情報や制作内容につなぐ考え方は、化粧品だけに限りません。掲載画面は手順を説明するための例で、MY WAYの支援実績を示すものではありません。
まず「どこで買えるか」から施策を組み立てる
同じ商品でも、天猫・淘宝の店舗で販売する場合、ブランド公式ECで販売する場合、訪日客に日本の店舗を案内する場合では、伝えるべき情報が違います。投稿を見た人が次に何をできるのかを決めずに発信すると、反応があっても商品を探し直してもらうことになります。
| 先に決めること | 商品PRで確認する例 | 企画への影響 |
|---|---|---|
| 対象と目的 | 中国での販売拡大か、訪日前の認知形成か | 参照する投稿、購入先、成果の見方を変える |
| 購入先 | 現地EC、取扱店、日本の店舗、販売前の案内先 | 投稿に書ける案内と、商品ページに必要な説明が変わる |
| 重点商品 | 仕様、使用方法、セット構成、使える表現 | 比較する競合と、撮影で見せる場面を絞れる |
たとえば小紅書で商品を紹介するなら、先に実際の購入先を特定します。天猫・淘宝の店舗なのか、ブランド公式ECなのかによって、商品名、価格、配送条件、案内の仕方が変わります。訪日客を想定するなら、日本のどの店舗で購入できるかも別に確認します。投稿からどこへ案内できるかは、企画時と公開前に実画面で確かめます。
現地の投稿と売り場を、同じ商品で見比べる
市場調査を「現地の人気投稿を集めること」で終わらせないために、調べる商品を一つ決めます。美容液なら、ブランドが重点的に紹介したい容量やシリーズを基準にし、類似商品の投稿と販売ページを同じ市場で見比べます。
投稿からは、購入前の言葉を探す
検索結果は調査の入口です。タイトルに「敏感肌」「保湿」などの言葉が見えても、それだけで市場の需要や商品の効果は分かりません。実際の投稿を開き、使用場面とコメントを確認します。たとえば無印良品の米糠発酵美容液を扱った公開投稿では、美容液と「精華水」の違い、顔に使えるか、肌にのせたときの重さについて質問や感想がありました。ここから分かるのは、その投稿で説明が求められた点までです。一つの投稿を市場全体の傾向とはせず、検索語と確認日を記録し、複数の投稿でも確かめます。

売り場からは、購入時に見える情報を確かめる
同じ商品の販売ページでは、商品名、容量、セット内容、使用方法、価格、配送条件を確認します。下の画面は中国の無印良品公式ECです。実際にPRで購入先として案内する天猫・淘宝の店舗があるなら、その店舗の表示も別に確かめます。比較対象の容量や販売条件が違うと、価格だけを並べても判断できません。SNSで使った商品名が売り場で見つからない、動画で説明した使い方が商品ページにない、といったずれもここで確認します。

この二つを並べると、投稿で答えるべき疑問と、購入先のページで補うべき情報を分けられます。写真を増やす前に、まず「どの疑問に答える画面が足りないか」を決めます。
「何が気になるか」を撮影と商品説明に落とす
美容液のPRで「高品質な日本製」と繰り返しても、購入前の疑問には答えきれません。現地の検索結果、投稿、商品ページ、レビューを見て、何について質問されているかを拾います。ただし、少数のコメントを市場全体の傾向として扱わず、観察した範囲と仮説を分けます。
検索画面から一つの投稿を開くと、同じ商品に関する質問の中身まで見えます。下は美容液と「精華水」の違いや質感を話し合っているコメント部分です。投稿者の感想は、その人の使用条件に限られるため、商品の効能として引用しません。

公開コメントから制作課題に変える例
観察したこと:一つの公開投稿では、美容液と「精華水」の違いや、顔への使い方、肌にのせたときの重さが話題になっていました。
確認すること:自社商品の説明に、剤形や使い方、質感について確認済みの情報があるか。別商品へのコメントを自社商品の評価として扱わない。
制作すること:必要なら、手に取る量や伸ばしたときの様子を撮り、商品名・使い方を購入先の説明とそろえる。肌への適合や効能はコメントから推定しない。
ここで重要なのは、よく見かける動画を真似することではありません。消費者のどの疑問に、どの画面で答えるかを先に決めることです。MY WAYが写真・動画を企画するときも、撮影カットを媒体だけで決めず、商品理解と販売先の情報を照らし合わせます。
効能や肌への適合を示す表現は、口コミの言葉をそのまま広告に移しません。ブランドが確認した商品情報と、中国での掲載先の条件に合わせて、公開前に表現を確認します。
PR・KOL施策は、投稿の先まで設計する
KOLやKOCを選ぶとき、フォロワー数だけで決めると、商品の説明に必要な視点が抜けます。美容液なら、普段どのようにスキンケアを紹介しているか、使用場面を無理なく見せられるか、ブランドが求める情報を自然に伝えられるかを確認します。
「何を見せるか」を、商品担当と売り場まで通す
先ほどの公開コメントには、剤形の違いや質感についての疑問がありました。自社商品でも同じ疑問が確かめられたなら、クリエイターには単に「使用感を伝えてください」と依頼せず、ブランドが確認した情報をもとに、手に取る量や伸ばし方を見せる必要があるかを相談します。投稿で使う名称と購入先の商品名も、制作前にそろえます。
| 確認する相手 | 制作前にそろえること | ずれたときに起きること |
|---|---|---|
| ブランド・商品担当 | 正式な商品名、容量、使い方、使える表現 | 投稿で未確認の効能や使用方法を伝えてしまう |
| クリエイター・制作担当 | 答えたい疑問、必要な撮影カット、原稿の確認手順 | 映像はきれいでも、購入前の疑問が残る |
| EC・運用担当 | 購入先の表示、案内できるリンク、公開時の在庫・販売状況 | 投稿を見ても同じ商品にたどり着けない |
投稿形式や公開日だけでなく、素材を広告やECに再利用する予定があるかも依頼前に確認します。再利用する場合は、掲載先、期間、使用できる写真・動画の範囲を関係者と決め、投稿後に利用範囲を広げる前提で進めません。
公開後は、反応を次の制作判断に戻す
公開後に同じ質問が続くなら、コメントへの回答だけで済ませず、商品ページの説明や次の投稿で答えるべき点を見直します。たとえば質感についての質問が繰り返され、購入先にも使用場面の写真がないなら、次の撮影で何を補うかを決められます。一方、質問が少ないだけで疑問が解消したとは判断できません。
再生数、保存、コメント、リンクからの移動、購入などは取得できる範囲が異なります。見られる数字と見られない数字を分け、投稿の反応だけから売上への効果を言い切らずに、次の施策を決めます。
制作前に、判断がずれない一枚をつくる
市場担当者、ブランド担当者、クリエイター、EC担当者が別々の資料を見ていると、投稿の確認時に「その表現は使えない」「紹介した商品は現地で販売していない」といった手戻りが起きます。制作前に、判断の基準と未確認事項を一枚のブリーフにまとめます。
- 誰に:中国で今回確かめたい客層・使用場面。
- 何を:重点商品、仕様、確認済みの説明、使えない表現。
- どこへ:実際の購入先、販売開始前なら問い合わせ先や案内時期。
- どう見せる:投稿で答える疑問、必要な写真・動画のカット。
- どう確かめる:公開後に見られる反応と、次回の修正を決める担当者。
このブリーフには、確定した情報と、これからブランドに確認する情報を分けて書きます。たとえば使用量が未確認なら、撮影で見せる前に商品担当の回答を待つ。購入先の案内が未定なら、公開日を決める前に導線を確認する。こうした判断を制作側だけに任せず、関係者が同じ画面を見ながら進めます。
MY WAYは、調査を制作と運用につなげる
市場調査だけ、KOLの手配だけ、動画の納品だけで終わると、それぞれの判断がつながりにくくなります。MY WAYは、中国での顧客の動きと商品の課題に合わせ、海外市場調査・戦略設計、海外SNS・PR、写真・動画制作、アカウントや広告の運用を組み合わせて考えます。
最初の相談では、立派な資料を用意する必要はありません。重点商品、現在の販売先、使える写真・動画、過去の施策、対象にしたい市場を共有いただければ、まず何を確かめるべきかを整理できます。販売先がまだ決まっていない場合は、認知施策として何を伝えられるかと、購入への案内が整う時期を分けて考えます。
調査で見えた疑問を、投稿の言葉、撮影するカット、購入先の説明へつなぐ。そこまでを一つの企画として扱うことが、中国向けPRを始める際の基本です。
海外マーケティングを、
次の成果へ。
海外市場を取り巻く環境は、常に変化しています。今の施策を活かしながら、戦略、SNS、広告、PR、コンテンツを横断して、成果を伸ばすための改善ポイントと次の打ち手を整理します。
施策の見直しや予算配分、特定の市場・プラットフォームの課題など、一つのテーマからでも構いません。現在の取り組みに合わせ、次に進むための具体策をご提案します。

