「まとまりのよい髪」を見せるシャンプーの広告と、「根元がふんわり立ち上がる髪」を見せる投稿。同じヘアケアでも、印象に残るポイントは違います。ファンデーションも、顔全体の自然な仕上がりを見せるか、気になる部分のカバー力を見せるかで、伝わることが変わります。

中国マーケティングの中でも、小紅書は商品の見せ方や購入前の疑問を調べる手掛かりになります。中国向けの商品紹介では、どの魅力を先に伝え、どんな写真で見せるかを見直したいところです。日本語のコピーを自然な中国語に直しても、購入前の疑問に答えていなければ、選ぶ理由は十分に伝わりません。

今回はヘアケア、ベースメイク、日やけ止めの3つを取り上げます。日本の公式情報と小紅書の投稿を見ながら、同じ商品の魅力をどう伝えるか、具体的に考えていきます。掲載ブランドは公開情報をもとに取り上げたもので、MY WAYの支援事例ではありません。

同じ商品でも、最初に伝える魅力は変えられる

例えば、毛先の広がりに悩む人と、トップのボリュームが出ないことに悩む人では、同じシャンプーの写真でも見る場所が違います。前者には毛先のまとまり、後者には根元や横から見たシルエットが、選ぶ手掛かりになります。

ただし、「日本人はしっとり、中国人はふんわり」と分けるのは早計です。花王の日本向けエッセンシャルには、まとまりを重視するタイプと、軽やかな仕上がりを重視するタイプがあります。花王公式のタイプ別説明を見ても、髪の状態や好みに応じて選べることが分かります。

小紅書でも、まず知りたいのは、自社の商品を届けたい人が何に悩んでいるかです。以下の検索画面は2026年10月5日に確認した例です。選んだ検索語や閲覧環境に左右されるため、需要の大きさや購入人数を示すものではありません。

「洗发水 蓬松」で調べると、細くてぺたんとしやすい髪や、トップのボリュームをテーマにした投稿が見つかりました。「高颅顶」は、こうした投稿では、根元をふんわりさせてトップに高さを出した見た目を指しています。洗浄成分の説明より先に、仕上がった髪と顔まわりの見え方を示す投稿が目に入ります。

小紅書で「洗发水 蓬松」を検索した画面。根元のボリュームや髪のシルエットを扱う投稿例。
出典:小紅書「洗发水 蓬松」検索画面(2026年10月5日、画面の一部を引用)。

根元のボリュームに悩む人に、「しっとり」を強調したコピーと、すとんとまとまった髪の写真だけを見せたらどうでしょうか。「自分の髪では重くならないか」と気になるかもしれません。軽やかな仕上がりも特長として伝えられる商品なら、まず根元や横から見たシルエットを見せ、次に毛先のなめらかさを紹介する方法があります。

撮影前には、まず「この一枚で、誰に何を伝えるか」を決めます。MY WAYが大切にしたいのは、商品のよさと、見る人が知りたいことを結びつけることです。市場リサーチで見つけた悩みを手掛かりに、どの部分を、どの角度から撮るかを考えます。

撮影時は、洗髪前後の条件に加え、乾かし方や整髪料の有無も記録します。ブローやアイロンで作ったボリュームを、シャンプーだけの効果として見せないことが大切です。実際にボリュームが出るかを確かめずに、「高颅顶」という言葉だけを借りるのは避けたいところです。

ベースメイク:素肌感を残しながら、どこまでカバーできるか

ベースメイクでは、「透明感」か「カバー力」か、という二択では語れません。肌の色むらは隠したいけれど、厚く塗ったようには見せたくない。その両方を求める人に、どちらか一方の説明だけでは足りません。

日本の商品紹介でも、この二つは一緒に語られています。例えばマキアージュ エッセンスリキッド EXでは、透明感とカバー力の両方が説明されています。一方、小紅書で「粉底液 遮瑕 自然」を検索すると、カバーの仕方に加え、薄づきや自然な肌の見え方を扱う投稿も確認できました。カバー力への関心を、そのまま厚塗りの好みと捉えないことが大切です。

小紅書で「粉底液 遮瑕 自然」を検索した画面。カバー方法と自然な仕上がりを扱う投稿が並ぶ。
出典:小紅書「粉底液 遮瑕 自然」検索画面(2026年10月5日、画面の一部を引用)。

同じファンデーションで自然な仕上がりを伝えるなら、顔全体や首との色のなじみが分かる写真が役立ちます。カバー力が気になる相手には、頬など同じ部分を、塗る前、薄く一度塗った後、気になるところだけ重ねた後の順で見せると、違いが分かりやすくなります。最後に顔全体を見せれば、「隠れるか」と「厚く見えないか」を一緒に確認できます。

中国向けにカバー力を見せたい場合も、日本向けの素材をすべて撮り直す必要はありません。顔全体の写真は生かしつつ、それだけでは分からない部分を接写や塗り方の動画で補う。そうすれば、追加で撮るべきものも絞れます。PRコンテンツの企画・制作でも、まずは手元の素材でどこまで伝わるかを見直します。

このとき、照明、撮影距離、使用量、色番、併用した下地をそろえます。コンシーラーを使った場合は、その事実も添えます。肌をなめらかにする画像加工を加えると、商品の仕上がりを比べられなくなります。コピーも、実際の仕上がりに合った表現にします。

日やけ止め:紫外線対策に加えて、毎朝の使いやすさも

日やけ止めでは、SPF・PAなどの表示が商品選びの基本になります。そのうえで、毎朝メイクをする人には、塗った後の肌の見え方や、下地・ファンデーションと重ねたときの使い心地も判断材料になります。

アネッサのパーフェクトUV マイルドミルク NA公式ページも、紫外線を防ぐ機能とともに、使い心地も紹介しています。小紅書でブランド名と「搓泥」(塗り重ねた際などにモロモロが出ること)を組み合わせて検索すると、使い方を尋ねる投稿が見つかりました。検索結果には複数の商品が混在するため、どの商品についての投稿か、販売地域や発売時期も含めて見分ける必要があります。

MY WAYでは、こうした疑問を見つけたら、まず既存の商品ページや動画に立ち戻って考えます。説明そのものが足りないのか、説明はあるのに見つけにくいのか。それによって、内容を補うべきか、掲載位置や見せる順番を変えるべきかが分かれます。

重ね使いの様子を撮る場合は、併用商品と手順を記録します。使用量はメーカーの案内に従い、撮影の見栄えに合わせて減らさないようにします。

翻訳の前に、一枚目と撮影条件を決める

3つの例に共通するのは、コピーだけを差し替えないことです。知りたいことに答えるには、写真の選び方や順番、添える説明まで考える必要があります。以下は撮影内容を検討するための案です。実際に制作する際は、商品の特長と仕上がりを確かめたうえで調整します。

商品と確認したいこと 最初に見せる画面 補足する情報
ヘアケア:根元が重く見えないか 頭頂部・側面のシルエット 髪質、乾かし方、整髪料の有無
ベースメイク:カバーしても自然に見えるか 同じ部位の薄塗りと重ね塗り 色番、使用量、下地・コンシーラー
日やけ止め:朝のメイクに組み込めるか 塗布からベースメイクまでの流れ 対象商品、併用商品、使用手順

KOL・KOCへの依頼でも、「蓬松」「遮瑕」といった言葉を入れてもらうだけでは不十分です。どこを、どの条件で撮るかを共有し、感想は本人が確かめた範囲で話してもらいます。期待と違う点があれば、言い換えて隠すのではなく、どんな人に合う商品なのか、説明が足りていない点はないかを見直します。

公開後は、閲覧数に加えて、コメントから、まだ伝わっていない点を探します。使い方への質問が多ければ手順を補い、自分の髪質や肌に合うか迷う声があれば、その判断に役立つ説明を加えます。反応の多さだけで、購入につながったとは判断しません。

同じ商品でも、最初に見せる場面が変われば、伝わる魅力は変わります。現地の投稿で気になる言葉を見つけたら、どんな悩みから出てきた言葉なのかを読み、その答えになる写真や説明を用意する。リサーチで得た気づきは、そうして次の商品紹介につながります。

関連コラム:日本ブランドが小紅書で成果を出しにくい理由。運用全体の課題については、こちらで整理しています。

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